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エコキュートのタンクの水は飲める?煮沸の条件と、地震で倒れないかを確かめる3つの方法


断水のとき、エコキュートのタンクの水が使えると聞いて、「それは飲めるのか」と気になった方は多いと思います。インターネットには「飲めない」と言い切る記事も、「煮沸すれば大丈夫」とする記事もあり、迷いやすいところです。

先に答えをお伝えします。タンクの水は、そのままでは飲めません。ただし、メーカーによっては、一度沸騰させれば飲用してよいと案内しています。一方で、飲用を避けるよう案内しているメーカーもあります。どちらの場合も、飲み水はペットボトルなどで別に備え、タンクの水は生活用水として使うのが基本です。

この記事では、次の順番で説明します。

  1. メーカー各社の案内と、煮沸して飲む場合の条件
  2. 飲み水以外の使い道の線引き
  3. タンクの水が何日分あるか
  4. 地震でタンクが倒れないか、自宅で確かめる方法

最後の4つ目は、特に大切です。タンクが倒れてしまえば、水は使えなくなるからです。

なお、この記事の内容は、2026年10月6日時点で確認した公式情報にもとづいています。メーカーの案内は変わることがありますので、自宅の機種の取扱説明書や、メーカーの公式サイトでもご確認ください。

タンクの水は飲めるのか

メーカーごとの案内

主なメーカーの案内は、次のとおりです。

  • ダイキン:よくある質問で「そのまま飲用しないでください」とし、飲用するときは「必ずやかんなどで一度沸騰させてからお使いください」と案内しています。
  • 三菱電機:よくある質問で「飲用される場合は、一度やかんなどで沸騰させてください」と案内しています。
  • パナソニック:断水時にタンクのお湯を使う場合のよくある質問では、「そのままの飲用はお控えください」としたうえで、「飲用に使う場合は煮沸してからお使いください」と案内しています。一方、断水時の注意を書いた別のページには、「飲用はおさけください」とあり、ページによって書き方が違います。
  • コロナ:非常用取水栓から取り出した湯水について、「飲用は避けてください」と案内しています。

上の4社以外の機種は、取扱説明書やメーカーの公式サイトでご確認ください。

つまり、「そのままでは飲めない」ことは共通です。煮沸すれば飲めるかどうかは、メーカーごとに(パナソニックはページごとに)案内が分かれます。自宅の機種の案内を、必ず確認しておきましょう。

そのままでは飲めない理由

一般的には、次の2点が理由として説明されます。

  • 水道水には、消毒のための塩素が含まれています。この塩素は、温められたり、長く置かれたりすると減っていきます。タンクの水は、貯めて使う仕組みのため、消毒の効果を期待しにくくなります。
  • 長く使ううちに、タンクの中に水あか(スケール)がたまったり、配管が傷んだりして、水質が変わることがあります。この点は、三菱電機のよくある質問にも書かれています。

どちらも「絶対に危険」という話ではなく、「ふだんの水道水と同じには扱えない」という話です。

煮沸して飲むなら、守りたい3つの条件

煮沸しての飲用を認めているメーカーの機種でも、次の3つは守ってください。三菱電機のよくある質問などで案内されている内容です。

  1. 給湯器には、水道法の水質基準に合った水道水を使っていること(井戸水などを使っている場合は、この前提に当てはまりません)
  2. 熱いお湯が出るまでに、配管にたまっている水は、飲まずに雑用水として使うこと
  3. 固形物、変色、濁り、異臭があるときは飲まず、すぐに点検を頼むこと

煮沸するには、やかんや鍋と、カセットコンロなどの熱源が要ります。水の備えと一緒に、熱源も確認しておきましょう。そのうえで、タンクの水を煮沸して飲むのは、備蓄した飲み水がなくなったときの、最後の手段と考えるのが安全です。

飲み水以外の使い道

トイレ、手洗い、掃除

煮沸しなくても使えるのは、トイレ、手や体を洗う、掃除をする、といった用途です。とくにトイレは、水をたくさん使います。断水が続くと、生活用水の多くがトイレに使われます。

なお、集合住宅では、バケツで一気に水を流すと、階下への水漏れや配管の傷みにつながるおそれがあります。建物の管理者の指示に従ってください。

手洗いに使える水があることは、衛生を保つうえでも大切です。ただし、取り出したばかりのお湯は高温のことがあります。パナソニックも、タンクのお湯は高温でやけどの危険があると注意しています。体や手を洗うときは、必ず水で薄めるか、冷ましてからにしましょう。

食器洗い、歯みがき、ペット

迷いやすいのは、食器洗いと歯みがきです。目安は、「口に入るかどうか」です。

  • 食器洗い:洗う作業には使えます。最後のすすぎに、煮沸した水や備蓄の飲み水を使うと、より安心です。災害時は、食器にラップを敷いて使い、洗い物を減らす工夫もあります。
  • 歯みがき:みがく作業はよいとして、口をゆすぐ水は飲み込むことがあるため、煮沸した水か、備蓄の飲み水を使うのが無難です。
  • ペットの飲み水:人と同じように、備蓄の飲み水を優先してください。ペット用の水も、人の分と一緒に備えておくと安心です。

タンクの水は何日分あるか

飲み水とは別に、トイレや手洗い、洗い物などの生活用水が必要です。国や自治体の防災の案内では、飲み水と調理用の水は、1人1日3リットルが目安とされています。生活用水は、1人1日10〜20リットルといわれます。

この目安をもとに、タンクの水が何日分かを計算すると、次のようになります(小数点以下は切り捨て)。

家族の人数 370Lタンク(1人1日10L) 370Lタンク(1人1日20L) 460Lタンク(1人1日10L) 460Lタンク(1人1日20L)
1人 約37日 約18日 約46日 約23日
2人 約18日 約9日 約23日 約11日
3人 約12日 約6日 約15日 約7日
4人 約9日 約4日 約11日 約5日
5人 約7日 約3日 約9日 約4日

4人家族で370Lなら、ふつうに使って約4日、節水して約9日です。2026年の熊本地震では、最大で約108,000戸が断水し、国土交通省は8月末までの断水の解消を目指しました(8月14日の発表)。長引く断水を、タンクの水だけで乗り切るのは難しいでしょう。それでも、給水車が来るまでの数日を自宅でしのげるかどうかには、大きな違いが出ます。

注意点があります。この計算は、タンクを空にできる前提です。実際には、取り出せない分もあります。停電していれば、沸き上げによる補充もできません。表の数字は上限の目安として、少なめに見積もっておきましょう。

タンクの水を取り出す手順は、「断水したらエコキュートから水を出す方法|共通の5ステップと、断水前・復旧後の注意点」で説明しています。エコキュートの選び方や、電気温水器との違いは、「【2026年】エコキュートと電気温水器の違いは?電気代・費用・補助金で選ぶ5つのポイント」でまとめています。

要注意:地震でタンクが倒れたら、水は使えない

過去の地震でも、転倒の相談があった

ここまでの話は、タンクが立っていることが前提です。この前提が崩れるのが、地震でタンクが倒れる場合です。

国民生活センターによると、2011年の東日本大震災と2016年の熊本地震のときに、エコキュートなどの貯湯タンクが倒れたという相談が寄せられました。設置工事の不備が原因とみられる事例が確認されています。

水を備えるためにエコキュートを選んでも、その地震でタンクが倒れれば、備えは役に立ちません。

自宅のタンクを確かめる3つのポイント

確認1:設置したのは、2013年4月1日より前か後か

東日本大震災で、住宅の電気給湯器が倒れる被害が多く出たため、国土交通省は、給湯設備の転倒防止に関する告示を改めました。告示は2012年12月12日に公布され、2013年4月1日から施行されています。対象は、満水時の質量が15キログラムを超える給湯設備です。エコキュートの貯湯タンクは、これにあたります。

この告示は、2013年4月以降の設置を対象にしたものです。それより前に設置したタンクは、いまの基準に沿っていない可能性があります。まずは、自宅のエコキュートを設置した時期を調べましょう。新築で付けたなら家の完成時期、リフォームで替えたなら工事の時期が目安です。

確認2:アンカーボルトの太さと本数

国民生活センターは、モニター家庭100件を調べました。結果は次のとおりです。

  • 100件中63件で、改正された告示にもとづく太さ・本数のアンカーボルトが使われていませんでした。
  • 告示にもとづくボルトが使われていた36件のうち、5件は、芯棒が根元まで打ち込まれていませんでした。

振動試験の結果も報告されています。細いボルトでは、1回の揺れでボルトに浮きが出ました。芯棒の打ち込みが足りない場合は、試験中にボルトが抜けて、タンクが倒れることもありました。

告示では、設置の場所や質量に応じて、アンカーボルトの種類や本数が決められています。自宅では、貯湯ユニットの脚のあたりを見て、何本のボルトで固定されているかを数えてみてください。写真を撮っておくと、業者に相談するときに見せられます。

確認3:基礎にボルトで固定されているか、置いてあるだけか

もっとも分かりやすい確認です。国民生活センターの振動試験では、固定していないタンクは、震度6弱相当の揺れで倒れました。基礎の上に置いてあるだけの状態は、無防備といえます。

脚と、その下のコンクリートの基礎のつなぎ目を見てください。ボルトで留められていれば、固定されています。何も留められていなければ、対策が必要です。脚にカバーがついている機種もあります。見えないときは、無理に外さず、業者に確認を頼みましょう。

不安があれば、設置業者に点検を頼む

3つのどれかで不安が残ったら、設置した業者や販売店に点検を頼んでください。国民生活センターも、設置するときは、国土交通省の告示にもとづく転倒防止策や、メーカーが指定した転倒防止策を頼むよう呼びかけています。

頼むときは、設置した年、機種の型番、脚の写真を用意しておくと、話が早く進みます。これから設置する場合は、見積もりの段階で、転倒防止の工事が含まれているかを確認しておきましょう。

倒れたときに起きること

配管の破損と水漏れ

タンクが倒れると、配管が引っ張られて壊れることがあります。そこから水が漏れると、敷地が水びたしになるおそれがあります。

水が漏れたときは、給水の元栓や、給水配管専用の止水栓を閉める必要があります。場所を知らないと対応できないので、ふだんから確認しておきましょう。三菱電機は、機器が浸水したり壊れたりしたときの対応として、次のように案内しています。

  1. 200V電源のブレーカーを切る
  2. 貯湯ユニットの電源レバーを「切」にする
  3. 給水配管専用の止水栓を閉じる
  4. 据付工事店(販売店)または修理窓口に連絡する

感電や漏電のおそれがあるため、倒れた機器にご自身で近づいたり、直そうとしたりせず、必ず連絡してください。

非常用の水が使えなくなる

もっとも大きな損失は、備えていた水を失うことです。タンクが倒れると、中の水は壊れた配管から流れ出ます。残っていても、倒れた機器から安全に取り出す方法はありません。

前の表の「約4日から9日分」の生活用水が、地震の瞬間にゼロになることもあるわけです。水の取り出し方を覚えることより、まず倒れない状態にしておくことのほうが、優先順位は高いといえます。

避難の通り道をふさぐおそれ

安全面の問題もあります。貯湯ユニットは大きく、水が入ると重くなります。人に当たれば大きな事故につながりますし、通路に倒れれば避難の通り道をふさぎます。玄関のそばや通路沿いに置かれている家も、少なくありません。夜に地震が起きて停電している場面を考えると、固定の確認には意味があります。

まとめ:「水が出せる」の前に「倒れない」を確かめる

  • タンクの水は、そのままでは飲めません。煮沸しての飲用は、メーカーによって案内が分かれます(ダイキン、三菱電機は煮沸すれば可、パナソニックはページによって案内が違い、コロナは飲用を避ける)。
  • 飲み水はペットボトルなどで別に備え、タンクの水は生活用水として使うのが基本です。
  • 煮沸して飲む場合は、水道水を使っていること、配管にたまっていた水は飲まないこと、異常があれば飲まないことの3つを守りましょう。
  • 370Lのタンクは、4人家族で約4日から9日分の生活用水になります。ただし、タンクが倒れないことが前提です。
  • 国民生活センターの調査では、100件中63件で、告示にもとづく太さ・本数のボルトが使われていませんでした。固定していないタンクは、震度6弱相当の揺れで倒れました。

今日できることは2つです。自宅のエコキュートを設置した年を調べること。そして、脚が基礎にボルトで固定されているかを、見に行くことです。5分ほどでできます。不安があれば、設置した業者に点検を頼んでください。

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参考・出典